先天性欠如歯(小児歯科学会雑誌から)
2016年03月16日
(星形ピノ)
永久歯が足りず、矯正相談に訪れる患者さんがいます。
乳歯の下では永久歯になるための歯の卵のようなもの(歯胚/しはい)が作られますが、何かの理由で歯胚が出来ない場合は永久歯が萌出せず、先天性欠如歯となります。
また、全ての歯がない場合は無歯症とも言います。
原因は、分かりません。不要な歯が、人類の進化の過程で淘汰されつつあるという説もあります。
日本小児歯科学会の調査によると、上の歯(上顎)約4.3%,下の歯(下顎)約7.5%と下の方が発生頻度が高く、場所は、左右ともに下の第2小臼歯(5番)約3%、側切歯(2番)約2%に多く認められるそうです。
顎の骨の中で永久歯の歯胚が育ってくると萌出を始めます。上にある乳歯の根が吸収されて短くなり、やがて抜け落ちます。このように歯は生え変わりますが、先天性欠如の場合、乳歯の根は吸収されませんので、大人になっても永久歯が生えるべき場所に乳歯が残ったままになります。ただし、乳歯は虫歯になりやすいのと、徐々には根が吸収されるので20歳から30歳までには自然に抜けてしまうことがほとんどです。。
日本小児歯科学界の調査によれば発現頻度は、最近生まれた子どもほど高い傾向にありました。出生年代別の発現率は1985年以前が9.62%、1986-1995年が10.08%、1996年以降では10.50%と微増しています。ただしその差は0.9%未満であり、上の歯に限れば1996年以降の発現頻度が最も低い結果になりました。
治療法)
乳歯の時〜〜〜〜〜
先天性欠如の歯が発見されても経過を見ていく場合がほとんどです。顎のバランスや咬み合わせが悪い場合は成長期の矯正治療を行いますが、乳歯の抜歯は行わず顎の成長を誘導してあげるだけにします。
11歳頃以降、矯正移動が可能な年齢の場合〜〜〜〜
中学生くらいになると全体的な矯正治療が可能になってきます。残っている乳歯は20歳から30歳までには自然に抜けてしまうため、この時に抜歯をし、永久歯を移動させてすき間を閉じて歯並びを改善させます。矯正治療を選択しない場合は2、0歳以降〜インプラントやブリッジ、入れ歯などで咬み合わせがずれないように治療をします。
先天欠如歯がある場合、基本的には11歳以降の永久歯が全部出てからの矯正治療になります。(なのに、早い年齢から、拡大床で早期治療されていたり、その継続治療依頼???が来たりします。これらの治療は、意味のないものです。)
新潟県 上越市
かるがも矯正歯科(歯科 矯正歯科 歯並び 歯列矯正)院長 新部洋史